僕がソファベッドを捨てた理由

ある日のこと。

1980年。僕は山口県由宇町というところで生まれ、

16歳までそこで暮らした。

高校を中退し大阪に一人で出てきたのだが、

その話はいずれまたするとして、

絵に描いたような田舎町だった。

目の前には瀬戸内海、両側には川が流れ、裏には山がある。

夏休みに友達と遊ぶといえば、

神社にクワガタを取りに行ったり、

川で鰻を釣ったり、海で泳いだり。

体を使ってめいいっぱい遊んでいた。

でも早く大人になって都会に行きたいな、

とも思ってもいた。

CD買いに行くのにだって、電車で30分くらいかかる。

なぜこんな話をしたかというと、

ふとそんな事を思い出した出来事が合った。

 

前回書いた田舎にある先輩の家に遊びに行った時、

外に出た理由は体を動かすため、というのは

植木の選定をするためだった。

植木をザクザク切って高さを揃えたりするアレ。

僕はなんとなく

(ちょっと億劫だな。。)と思い、

先輩が大きなハサミで楽しそうに切っているのを眺めていた。

それを見て、

(あれ、、小さい頃はこんな体動かす作業大好きやったなぁ。

なんで今は嫌がってるんやろ。)

と思い直し、立ち上がり先輩に交代してもらった。

そうしてハサミで植木をザクザク切り始めた時、

腰に違和感を感じた。

痛い、ってほどでもないんだけど、無理してる気がした。

その時、あ、だからこの作業嫌がってたんだなと気付いた。

 

僕の感情などそんなものだ。

嫌だな、と思うのは体が不調を訴えているからだったり、

美味しいなと思うのは、体が求めてるからだったり。

逆に苦手なあんこ入り饅頭を好きになろうとしたって無理だったし、

あの娘の事好きになろうと思ったって無理だし、

好き、すら自分で決めれないなら、好きな事をとことんやるだけだなと思い、

僕は嫌いだった仕事をやめた。

 

僕は腰の痛みを先輩に訴え、腰に効く体操を教えてもらった。

なんだかよく分からない体勢で、これ効くのかな、と思ったけど、

やっているうち妙な快感を感じたので効くんだろう。

傍から見たら、おっさん二人が庭でお尻突き出して、

あーでもない、こーでもないと妙なポーズをしている。

僕が蝉取りしてる小学生だったら、一目散にこんな田舎出ていきたいと思うな、

と昔を思い出しました。

 

その後、この腰の痛みはどこから来るのかな、と考えた時、

スプリングの壊れたソファベッドで毎日寝ているからだなと思い、

この夏、僕はソファベッドを捨てた。

鳩とiPhoneの話

ある日の事。

とても美しい鳩を見た。

美しい鳩?
たかが鳩だろ?

と思われるかもしれない。

今思い返しても夢だったのかなと思うくらい、美しい鳩だった。

目の前に現れた瞬間、僕はただただ見惚れてしまっていた。

 

その日はちょっとした休暇で、田舎にあるとてもお世話になっている
先輩の家に遊びに来ていた。

お茶を飲んだり、くだらない話をしながらくつろいでいた僕らは、
ちょっと体でも動かそうかと庭に出た。

ちょうど同じ時、彼女は家の門をくぐって僕らの前に現れた。
ククッと首を前後させ、美しい姿で家の主人にお辞儀する。

さながら好きな男を訪ねてきた天女の様な出で立ちだった。

先輩は僕に「ちょっと動かないでね。」と言い、
家の中に戻り彼女の食事を持ってきた。

「最近、うちに遊びにくる様になってね。
ようやく近づかせてくれるようになったよ。」

と先輩は嬉しそうに言った。

まだ近づかせてもらえないだろうな、
と僕は彼女に見惚れながら、残念なような、
それでいて嬉しい気持ちだった。

彼女はゆっくりと優雅に食事している。

 

僕はふと、
「あぁこの写真をSNSにあげたいなぁ」
と思い、ズボンのポケットを探ってみたけれど、iPhoneがない。
さっきお茶を飲んでいた時、その場に置いて来てしまっていた。

取りに戻ってる間に彼女はいなくなってしまうだろう。
ならばせめてその姿を脳裏に焼き付けようと、
僕はじっと彼女を見つめた。

思わずハッとした。

その時まで僕はぼんやりとしか彼女を見ていなかった事に気が付いた。
SNSにあげれないので脳裏に焼き付けておこうとした瞬間、
彼女の美しい姿がさらにはっきりと見える。
あのままiPhoneで写真を撮っていたら、
ここまでハッキリと見えていなかっただろうな…、と僕は反省した。

スマホは便利だ。

僕は全く否定派ではないし、生活必需品である。
初代iPhoneも新し物好きな僕は真っ先に買った。
それ以来基本肌身離さずだ。

外付けハードディスクみたいな存在だったものが、
大事なファイルや機能を入れすぎて、
内臓ハードディスクみたいになってきたなと思い、
少しだけ本体の方に機能を戻してみようかなと思う。
きっとカメラマンだってじっくりと(その時間の長さではなく)
被写体と向き合ってからシャッターを切るのだろう。

なんて事をボンヤリと彼女を見ながら思い、
あぁこんな事をブログに書きたいからメモに書いておこう!と、
おもむろに僕はズボンのポケットをまさぐっていた。

 

 

という事でblog始めました。

岡本修道

れっきとしたSLEEPER Official blog