鳩とiPhoneの話

ある日の事。

とても美しい鳩を見た。

美しい鳩?
たかが鳩だろ?

と思われるかもしれない。

今思い返しても夢だったのかなと思うくらい、美しい鳩だった。

目の前に現れた瞬間、僕はただただ見惚れてしまっていた。

 

その日はちょっとした休暇で、田舎にあるとてもお世話になっている
先輩の家に遊びに来ていた。

お茶を飲んだり、くだらない話をしながらくつろいでいた僕らは、
ちょっと体でも動かそうかと庭に出た。

ちょうど同じ時、彼女は家の門をくぐって僕らの前に現れた。
ククッと首を前後させ、美しい姿で家の主人にお辞儀する。

さながら好きな男を訪ねてきた天女の様な出で立ちだった。

先輩は僕に「ちょっと動かないでね。」と言い、
家の中に戻り彼女の食事を持ってきた。

「最近、うちに遊びにくる様になってね。
ようやく近づかせてくれるようになったよ。」

と先輩は嬉しそうに言った。

まだ近づかせてもらえないだろうな、
と僕は彼女に見惚れながら、残念なような、
それでいて嬉しい気持ちだった。

彼女はゆっくりと優雅に食事している。

 

僕はふと、
「あぁこの写真をSNSにあげたいなぁ」
と思い、ズボンのポケットを探ってみたけれど、iPhoneがない。
さっきお茶を飲んでいた時、その場に置いて来てしまっていた。

取りに戻ってる間に彼女はいなくなってしまうだろう。
ならばせめてその姿を脳裏に焼き付けようと、
僕はじっと彼女を見つめた。

思わずハッとした。

その時まで僕はぼんやりとしか彼女を見ていなかった事に気が付いた。
SNSにあげれないので脳裏に焼き付けておこうとした瞬間、
彼女の美しい姿がさらにはっきりと見える。
あのままiPhoneで写真を撮っていたら、
ここまでハッキリと見えていなかっただろうな…、と僕は反省した。

スマホは便利だ。

僕は全く否定派ではないし、生活必需品である。
初代iPhoneも新し物好きな僕は真っ先に買った。
それ以来基本肌身離さずだ。

外付けハードディスクみたいな存在だったものが、
大事なファイルや機能を入れすぎて、
内臓ハードディスクみたいになってきたなと思い、
少しだけ本体の方に機能を戻してみようかなと思う。
きっとカメラマンだってじっくりと(その時間の長さではなく)
被写体と向き合ってからシャッターを切るのだろう。

なんて事をボンヤリと彼女を見ながら思い、
あぁこんな事をブログに書きたいからメモに書いておこう!と、
おもむろに僕はズボンのポケットをまさぐっていた。

 

 

という事でblog始めました。

岡本修道

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